妊娠33週の赤ちゃんの成長・発達と妊婦さんの様子

河野照子 先生
医学博士
日本産科婦人科学会専門医
日本周産期・新生児医学会専門医
日本超音波医学会専門医
よしかた産婦人科勤務
妊娠33週に知っておきたい大切なポイントは?
妊娠33週では、赤ちゃんの体重が2,000gほどになりました。おなかのなかにいっぱいになってきた赤ちゃんの力強さを、日々感じられる時期かもしれません。赤ちゃんと会える瞬間に向けて、出産の流れなども知っておきましょう。妊娠33週頃の赤ちゃん&妊婦さんの様子や気をつけておきたいアドバイスをお届けします。
妊娠33週は妊娠何カ月?
妊娠後期で妊娠32~35週にあたる妊娠9カ月目の第2週です。出産予定日まで50日を切りました。期待が高まるなかに不安もあるかもしれません。できるだけその不安を解消していきましょう。
妊娠33週:赤ちゃんの成長・発達は?
妊娠33週:赤ちゃんの大きさは?
妊娠33週頃の赤ちゃんの大きさは、身長40cm以上、体重は1,800~2,100gほど。平均で2,000gまで成長しました。
妊娠33週:赤ちゃんの様子は?
全体的にふっくらし、皮膚のしわも張りをみせていきます。表情も出てきて、爪が伸び、髪の毛が長くなっている様子もみられます。
からだが大きくなってきたことで身動きが取りづらくなり、胎動は落ち着いているように感じることもありますが、1時間に5~6回程度動くことも。動き方には個人差がありますが、あまりにも胎動が感じられないときは注意が必要です。
妊娠33週:赤ちゃんの発達は?
赤ちゃんはおなかのなかで、20分おきに寝たり起きたりしながら、生活のリズムを学んでいきます。寝ているときはゆったり、起きているときは少し早くと心拍数にも変化がみられます。小さくても懸命に動く力強い心臓に命を感じられます。
妊娠33週:妊婦さんのからだは?
妊娠33週:妊婦さんのからだの様子は?
子宮底がみぞおちに届くまで大きくなり、胃や肺、心臓まで圧迫されるように。そのため、動悸、浅い呼吸、食欲不振などが起こることがあります。上下にのびる子宮は膀胱も圧迫。尿漏れなどの対策も考えておきましょう。そのほかのマイナートラブルも起こりがちなので、食事や運動などに引き続き気を配っていきましょう。
妊娠33週目:妊婦さんのおなかの大きさは?
みぞおちまで大きくなったおなか。恥骨から子宮底までの長さは28~31cmほど。おなかが急激に大きくなると妊娠線ができやすくなるので、気になる妊婦さんはケアをしていきましょう。
妊娠33週:妊婦さんが気をつけること・することは?
少しでも心地よく眠るために
妊娠33週頃、妊娠後期になってくると、ぐっすりと朝まで眠ることが難しくなってきます。
例えば、大きなおなかの重みで自由に動けない、おなかの張りや赤ちゃんの胎動で起きてしまう、突然足がつってしまう、肺を圧迫されて寝苦しい、尿意を感じて頻繁に起きなくてはいけないことなどで、眠りを妨げられます。さらに日中の活動量の減少、出産への不安やストレスなどによる睡眠の質の低下も考えられます。
睡眠不足は体調や自律神経を乱すことにもなるので、少しでも快適な眠りとなるよう、生活リズムを見直したり、寝る姿勢を変えたりしてみましょう。
座り方にも注意してみよう
妊娠が進むにつれて安静に過ごすことが多くなり、座っている時間も増えているのではないでしょうか。座り方に少し注意をすると、からだの負担を減らすことにつながります。
おなかが大きいことからつい猫背になってしまいがちですが、背骨や腰だけでなく、首と肩にも大きな負担がかかってしまうため、骨盤を立てて座るようにします。骨盤が歪まないように、横座りいわゆるお姉さん座りは避けましょう。床や畳に座るならあぐらか正座、椅子であれば深く腰掛け骨盤を立て背もたれに軽く寄りかかるようにします。クッションや折りたたんだタオルを座骨の下に置くとラクに座れることがあります。
子宮頸管が短くなると早産のリスク
子宮頸管(けいかん)とは子宮の出口側にある、子宮と膣をつなぐ部分。妊娠中は閉じて赤ちゃんが子宮の外に出ないようにしていますが、出産時には開いて産道となります。妊娠中期頃までは35~40mmほどの長さがありますが、妊娠33週頃になると25~30mmほどになっていきます。短くなると子宮口が開きやすくなるため、25 mmを下回ると早産となるリスクが生じると考えられ安静にする必要があります。
休んだ方がいいサインは?
体調が特に悪いようでなければ、気をつけながら家事や仕事、運動などを行える妊娠33週頃ですが、動いているうちに立ちくらみ、動悸などを感じたらからだを休めるようにしましょう。貧血症状を起こしている可能性があります。無理をすると失神してしまうこともあるので、外に出ているときは座る、家にいるなら横になるなどしてゆったりと過ごします。また、おなかが張るとき、痛みを感じるときも安静に。それでも治まらないようなら医師に相談することも考えましょう。からだからのサインをキャッチし、きちんと対応することが、おなかの赤ちゃんや妊婦さん自身を守っていくことに繋がります。
妊娠33週のチェックリスト
お産の全体の流れを知っておこう
出産予定日まで1カ月半ほどとなりました。赤ちゃんに会える期待とともに、不安を感じている方もいるでしょう。出産がどのように進んでいくのかを知っておくと、少しでも心配を解消できるかもしれません。ぜひパートナーと共有しておきましょう。
<自然分娩の全体の流れ>
準備期→分娩第1期→分娩第2期→分娩第3期という段階で出産は進んでいきます。
【準備期】(初産婦:6~8時間、経産婦:5~6時間))
おしるしや破水などのお産のはじまりのサインから、子宮の出口が3~4cmに開くまで。
【分娩第1期】(初産婦:約10~12時間、経産婦:約5~6時間)
子宮の出口が全部開くまでの時間。陣痛の間隔が2~10分と短くなり、陣痛が1回あたり30~60秒と長くなる。
陣痛がきている時は深くゆっくりとした呼吸で陣痛をのがすように、陣痛の合間は力を抜いてリラックスして過ごしましょう。
【分娩第2期】 (初産婦:約2~3時間、経産婦:約1~2時間)
子宮の出口が全部開いてから赤ちゃんが生まれるまで。
赤ちゃんの頭で肛門付近が圧迫されるため、お尻が押される感じがしたり、自然にいきみたくなってきます。陣痛と力をいれるタイミングが合うように、助産師さんの合図に合わせていきみます。陣痛の合間は身体の力を抜いて、赤ちゃんに酸素がいくようにゆっくりと深い呼吸をしましょう。
【分娩第3期】(初産婦:約15〜30分、経産婦:約10-20分)
赤ちゃんが生まれたあと、胎盤が出てくるまで。
病院の方針にもよりますが、入院に向けてお産の始まりを病院に連絡する目安は、陣痛が10分間隔になった頃。経産婦さんは一気にお産が進む可能性があるので、もっと早い段階で連絡するよう言われることもあります。どんなタイミングで陣痛が始まり、病院へ向かうことになるかはわかりません。パートナーがいるとき、ひとりのとき、深夜、外出中、上の子を保育園などに預けている時…など、考えられるパターンを想定して準備しておく必要があります。「陣痛タクシー」「マタニティタクシー」といった妊婦さんに配慮したサービスを行っているタクシー会社もあるので、タクシー利用の可能性がある妊婦さんは、調べておくといいでしょう。
なお、陣痛が始まる前に破水した場合は、感染の危険があるので、陣痛を待たずすぐに病院に連絡し入院となります。
陣痛とはどういうもの?
病院へ移動する際の目安となるのが陣痛です。陣痛とはおなかのなかにいる赤ちゃんを外に出してあげるための子宮の収縮による痛みのこと。おなかの痛みが出てきたら、からだを休めて様子をみましょう。不規則な感覚で痛みや張りを感じるのは「前駆陣痛」といい、痛みもさほど強くなく、自然に治まる場合もあります。
赤ちゃんの名前はどうやって決める?
赤ちゃんが生まれた日を含む14日以内に、市区町村の役所に赤ちゃんの名前を記入した出生届を提出する必要があります。生まれてからあまり時間がないので、名前について夫婦で話し合いをしておきましょう。
使用できる漢字は「常用平易の文字」となっており、記号や数字は使えません。また、2025年5月施行の改正戸籍法により、戸籍にフリガナが記載されることとなりました。氏名のフリガナについて「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」とのルールが設けられたことに注意してください。漢字の意味と全く関連のない読み方や読み違いと思われるような読み方はNGとなります。
妊娠33週:パパにできることは?
まもなくやってくる妊娠37週以降は、赤ちゃんがいつ生まれてもおかしくない正期産の時期に突入します。お産は突然はじまることを前提として、パパもお休みの調整をしておきたいものです。
産後の育児休業制度として、産後8週間以内に4週間(28日間)を限度として2回に分けて取得できる「産後パパ育休」という制度があります。2回に分けられるので、出産時と退院時、里帰りのお迎え時など、家族のタイミングにあわせて休みをとることができます。原則、休業の2週間前までの申請となっていますが、勤務先にどのような手続きが必要かを事前に確認しておきましょう。
休業にあたっての引継ぎの準備なども進めておくと、急なタイミングでも安心して出産に臨むことができます。
妊娠33週: お医者さんに聞くことは?
赤ちゃんの発達の様子
妊婦健診では赤ちゃんの発達の具合を聞いてみましょう。どこが動いているのか、いま何をしているのか、超音波検査を通じておなかの赤ちゃんの様子がわかる大切な機会です。一般的な妊娠33週の胎児の発達と比べるよりも、前回の健診からの発達具合を確認し、赤ちゃんの成長を見守っていきましょう。
あまり胎動が感じられない
妊娠後期になると胎動が減っているように感じられることがあります。赤ちゃんが大きくなってあまり動き回らなくなった、胎児の向きが背中側になっている、寝ている時間が長くなったなどの理由が考えられますが、横になったり、おなかをさすったりしてもあまり反応が感じられないようであれば、医師に相談をしましょう。
妊娠33週:よくある質問
妊娠33週から前駆陣痛はありますか?
陣痛のリハーサルと言われる前駆陣痛は、不規則に起こるおなかの張りや痛みで、それほど痛みは強くなく、しばらくすると治まるため陣痛とは異なります。前駆陣痛は、陣痛が起こる数日~数時間前に起こるものなので、この時期の強い張りは切迫早産の可能性があります。気になるおなかの張りや痛みがある際は、医師に相談しましょう。
妊娠33週の胎児の体重は平均でどのくらいですか?
妊娠33週頃の胎児の体重の平均は2,000gです。個体差が大きくなっている時期で、胎児体重の基準値は1,500~2,450gほどと、基準値にも開きがあります。
超音波検査で計測される推定体重はからだの大きさから推測する数字なので、実際の体重とは誤差があると言われています。また、出産したときに全然違っていた!ということもよくあること。数値にとらわれず、現在の発達の状況を聞くようにしましょう。
妊娠33週の胎動が激しすぎる原因は?
妊娠33週頃になると赤ちゃんの身長は40cm以上になってきています。子宮のなかがいっぱいになってきて、ぐるぐると動きまわることはできなくなってきていますが、狭い中で手足を一生懸命動かしています。骨がかたくなり、筋肉も発達してきて、手足を動かす力は強くなっているので、その力強さを激しいと感じるかもしれません。手や足を曲げたり伸ばしたりしながら、からだや神経を発達させている赤ちゃんを見守っていきましょう。
妊娠33週で仕事はできますか?
労働基準法による産前休暇は出産予定日の6週間前からとなっているため、産休は妊娠34週から。制度上では、妊娠33週で仕事をすることは可能です。しかし、実際に仕事に取り組むことができるかどうかは妊婦さんの体調次第となるため、あまり調子が優れない、早産の兆候が感じられるなどの状態であれば安静にしたほうが良いでしょう。特別な事情がある場合、医師の診断書があれば休業することが可能です。