妊娠初期 / 妊娠14週の赤ちゃんの成長・発達と妊婦さんの様子
2025.05.28

妊娠14週の赤ちゃんの成長・発達と妊婦さんの様子

sugiurayuko
井畑穣
監 修

井畑穣 先生

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
母体保護法指定医
日本婦人科腫瘍学会認定 婦人科腫瘍専門医
よしかた産婦人科勤務

妊娠14週に知っておきたい大切なポイントは?

つわりの不快な症状を感じない日が増えてくる頃です。まだ続いている人も妊娠16週頃までにはほとんどの妊婦さんのつわりが終わるので、もう少しの辛抱です。初期流産の確率が高い時期はほぼ過ぎました。この先しばらくは体調が安定して動きやすくなるので、楽しみにしてください。そんな妊娠14週に気をつけておきたいことや、心がけたいことをご紹介します。

妊娠14週は妊娠何カ月?

妊娠12~15週にあたる妊娠4カ月の第3週です。出産予定日は妊娠40週0日なので、妊娠14週は妊娠期間の3分の1を過ぎた頃。重要な器官を作り終えた赤ちゃんはこれから急激に大きくなっていきます。

妊娠14週:赤ちゃんの成長・発達は?

妊娠14週:赤ちゃんの大きさは?

赤ちゃんの大きさは8cm程度、重さは50~60g程度です。妊娠10週頃からの約1カ月間で7~8倍も大きくなりました。

妊娠14週:赤ちゃんの様子は?

骨や筋肉が発達し、よく手足を動かしています。手のひらは開いた状態で5~7mm程度。とても小さいのですが、指しゃぶりのような仕草をみせたり、手をぐーの形にしたり、手首を動かしたりすることもできます。口を開けたり閉じたりしておっぱいを飲む練習をするような様子もみられます。

妊娠14週:赤ちゃんの発達は?

脳からからだに指令をおくるニューロンという神経細胞が増えてきます。これから五感もどんどん育っていく頃。頭部の成長に伴い、眼や耳が正しい位置に移動していきます。

妊娠14週:妊婦さんのからだは?

妊娠14週:妊婦さんのからだの様子は?

つわりや妊娠初期の不快な症状がやわらぐ頃です。ホルモンバランスの変化が落ち着き、受精卵の着床以来続いていた高温期が終わり、基礎体温も元に戻ってきます。だるさや熱っぽさの症状が緩和されるでしょう。

妊娠14週:妊婦さんのおなかの大きさは?

おなかや乳房が少しずつ大きくなる頃です。目立つほどではありませんが、下着や服の締めつけが気になってくる人もいるでしょう。子宮は子どもの頭くらいのサイズになっています。

妊娠14週:妊婦さんが気をつけること・することは?

食生活の見直しを

胎盤が完成に近づくにつれ、受精卵から分化した「卵黄嚢」から栄養をもらう時期が終わり、ママが摂った栄養がしっかり赤ちゃんに届けられるようになります。つわりが落ち着いて食べられるものが増えたら、栄養バランスがとれた食事になるよう食生活を見直しましょう。つわりのときのように食べられるものを食べられるだけ、という意識からはシフトチェンジを。妊娠中はエネルギーの備蓄のために脂肪を蓄えやすい体質になっているので、食べる物に気を配ることで体重管理にもつながります。

栄養バランスというのは、糖質・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素のバランスのこと。お互いに補いあってからだに働きかけるので、どれかが欠けてもいけません。ごはんやパンなどの主食・肉や魚を使った主菜・野菜や海藻を使った副菜がそろう定食のような献立にすると、さまざまな食材を使うので栄養バランスがとりやすいでしょう。さらに、妊娠中に積極的に摂りたい鉄分や葉酸、不足しがちなカルシウムを多く含む食材を取り入れればOK。

妊婦健診で注意されなければ、さほどストイックになる必要はありません。しかし脂質の多い洋食より和食を選ぶ、野菜や海藻類が摂れる副菜を増やす、鉄分やカルシウムを含む食材を料理にちょい足しする、減塩調味料を選ぶなど、できることからやってみてください。

妊娠中に使える薬について

妊娠中は、薬に限らず食事や水でも、妊婦さんが摂取するものは大なり小なり赤ちゃんに移行します。ただ、これまで何十年も使われてきて、まったく赤ちゃんに影響を認めていない薬も多く、それらを「妊娠中に使ってもよい薬」と考えて、処方されることがあります。特に漢方薬はかなり長い歴史があるのでよく使われています。

このように専門的な知識が必要になるため、妊娠中の薬は必ず産婦人科の医師の判断のもと、用法を守って使用してください。。手に入りやすく身近な湿布薬や解熱鎮痛剤、鼻炎薬のなかにも、おなかの赤ちゃんの発育に影響を及ぼすものがあるので注意が必要です。

無理せず体力の回復をはかろう

つわりの気持ち悪さが減り、食欲が増して動けるようになると、つい張り切ってしまいがちです。今までできなかった分を取り戻したくなる気持ちはわかりますが、からだは赤ちゃんを育むためにフル稼働中。赤ちゃんに栄養や酸素を届けるために血液量を増やそうとしていて貧血気味だったり、ホルモンの影響で気持ちが不安定になっていたり。つわりが明けても妊娠前のようにはいかないので、無理なくゆっくりと、を心がけて生活するようにしてください。その上で、軽く運動を始めたり、しっかり食事を摂ったりして、つわり期に落ちた体力の回復をはかるといいでしょう。

気持ちが不安定になるのはホルモンの影響

妊娠するとホルモンバランスが妊娠前と大きく変わります。その急激な変化の影響で気持ちが不安定になる人も。からだが思うように動かない、体型が変わる、母親になることへの不安など、妊娠中は気持ちが落ち着かない要素がたくさんあります。突然落ち込んだり、イライラしたり。そんなときは不安なことを誰かに話すと少し心が軽くなるかもしれません。妊娠経過や出産への不安があるときは、医師や助産師に相談するのも手です。パートナーにも、妊娠中はホルモンバランスの変化が原因で感情が不安定になることを事前に伝えておくと、受け入れてもらいやすいでしょう。

妊娠14週のチェックリスト

下腹部の痛みを感じたら

胎盤が完成し、赤ちゃんが急成長するのに伴い、子宮も大きくなっていきます。その際、子宮の上方と足の付け根あたり(鼠径部)をつなぐ円靭帯という組織が引っ張られて痛みを感じることがあります。下腹部や足の付け根のあたりにズキズキとつったような感覚があり、立ち上がったり歩いた時に痛みを感じることが多いようです。痛みが強いときは市販薬や湿布は使わず、産婦人科の医師に相談を。

同じ下腹部の痛みでも、おなかが硬い、痛みが長く続く、性器出血があるときは流産につながる恐れがあります。早めに受診するようにしてください。

マタニティ下着の準備

これからどんどんおなかや乳房が大きくなります。バストは妊娠前から2カップほどもサイズアップします。締めつけがきついと息苦しくなったり、血流を悪くするので、早めにマタニティ用の下着を準備しましょう。サイズの変化に対応できるよう、伸縮性のある素材が安心です。

「マタニティブラ」は産後の授乳時にも便利な、簡単にカップが開くタイプが人気です。カップ付きのキャミソールなら、着心地も楽で、おなかの冷えも防いでくれます。

「マタニティショーツ」は股上が深く、おなかをすっぽり覆えるタイプが一般的。最初はその大きさに驚くかもしれませんが、おなか全体をカバーして冷えからも守ってくれます。血流を妨げないよう、鼠径部を圧迫しないものを選ぶようにしてください。

おなかをサポートして冷えからも守ってくれる「妊婦帯」もあります。腹巻、ベルト式、パンツタイプと、種類もさまざま。締めつけ感の好みや着る服にあわせて選ぶといいでしょう。

歯科健診の予約をいれよう

つわりの不快な症状を感じなくなったら、歯科健診をうけるタイミングです。妊娠によって分泌が増える女性ホルモン・エストロゲンは歯周病菌の好物。免疫力も低下しているので、歯周病や虫歯になりやすくなっています。歯周病になると早産や低体重児出産のリスクが高まる恐れがあると言われています。さらにおなかが大きくなると仰向けでの治療が辛くなりますし、出産時期にかかると途中で治療が止まってしまうことも。妊娠中に何度か治療に通うことになっても対応できるように、体調が落ち着いたら早めに受診するようにしましょう。

職場への報告

初期流産のリスクが下がり、おなかも目立ち始めるので、職場への妊娠報告が済んでいない人は伝えどきです。妊娠中期以降にからだに負担をかけるとおなかが張りやすくなります。おなかが頻繁に張ると流産や早産につながる危険性があるので、産休に入る人が多い妊娠9カ月のもっと前の段階で仕事の調整が必要になることがあります。同僚の負担が増えるかもという不安で報告を先延ばしにすることで、フォローする側が大変になる場合もあるので、なるべく早めに伝えた方がいいでしょう。

こむら返りを予防

大きくなったおなかを支える足の筋肉が疲労して、足がつることがあります。妊娠後期に起こりやすくなりますが、なかには妊娠期間中ずっとつりやすかったという妊婦さんも。冷えによる血流の悪さが一因なので、入浴などで足を温めて血行を良くするようにして。寝ている時につることもあるので、寝る前にストレッチやマッサージをして、ふくらはぎの筋肉をのばすのもおすすめです。

妊娠14週:パパにできることは?

経過が順調なら、妊娠中も適度な運動が必要です。何をしようか迷っていたら、ウォーキングに誘ってみてはいかがでしょうか。ウォーキングはからだへの負担が少なく、妊婦さんのペースで取り組むことができます。2人で話もできるし、もしもの時に備えてパパが一緒にいてくれた方が心強いと感じることもあるでしょう。その際は、妊婦さんのペースにあわせてゆっくり歩くようにしてください。はじめは20~30分程度、慣れてきたら1時間程度が目安です。

妊娠14週: お医者さんに聞くことは?

よく使う薬のこと

妊娠中の服薬は赤ちゃんに影響をおよぼすため、薬によっては妊娠中の服用に注意が必要なものがあります。風邪薬や便秘薬、湿布、目薬など、身近なものでも自己判断せず、事前に医師に確認しましょう。

流行している感染症

麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)、風疹(3日ばしか)など、妊娠中に予防接種が打てない病気で、流産のリスクを高めたり赤ちゃんに悪い影響をおよぼす感染症があります。周囲で流行している感染症がある場合は、予防接種歴を確認しておくようにしましょう。特に保育園や幼稚園に通うお子さんがいる家庭は要注意です。なお、インフルエンザは妊娠中でも予防接種を受けられるので、できるだけ接種するようにしましょう。

便秘がつらいときは

妊娠によって増えた黄体ホルモンの影響で腸の働きが鈍くなっているため、便秘が起こりやすくなっています。放っておくと痔の原因にもなるので、辛いときは医師に相談すると良いでしょう。妊娠中でも服用できる便秘薬を処方してもらえる場合があります。

便秘になりやすい状況は今後も続くので、乳酸菌や食物繊維など腸の働きをよくする食材を摂ったり、適度な運動をして予防を心がけてください。

妊娠14週:よくある質問

妊娠14週で流産する可能性はありますか?

妊娠22週未満の分娩を流産といい、流産の場合は最善を尽くしたとしても生児を得ることは難しいです。流産のうち、妊娠12週未満を早期流産、12~22週までを後期流産といい、流産の約9割は早期流産です。早期流産の原因はほぼ胎児側の遺伝子的な理由であると考えられています。つまり現代の医学では治療ができない可能性が高いものです。

後期流産の場合は、子宮内感染や子宮頸管無力症などの母体側の理由が増えますので、早めに対応することで流産を防げる可能性があります。性器出血やおなかの痛み、張りなどのサインを見逃さず、早めに受診するようにしましょう。

妊娠14週でおなかが張ることはありますか。

おなかがかたくなるような、子宮がきゅっと縮むような感覚があることを「おなかが張る」と表現します。子宮が大きくなる時に起こる自然な感覚で、妊娠20週頃から感じやすくなります。妊娠14週ではまだ感じられないことが多いので、それは子宮と鼠径部をつないで支える円靭帯が引っ張られた感覚かもしれません。その場合、足の付け根あたりに痛みが伴う場合があります。

妊娠14週です。性別は分かりますか?

妊娠11週頃から性別による外性器の違いが出てきますが、超音波検査で性別の判定ができるのは早くても妊娠16~18週頃から。妊娠14週は外性器の形成が未発達なので、はっきりとはわからないことが多いでしょう。なお、赤ちゃんの性別は受精の瞬間に決まっています。女の子の染色体であるX染色体と男の子のY染色体、どちらの染色体をもつ精子が受精したかによって性別が決まるのです。

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