妊娠カレンダー / 妊娠32週の赤ちゃんの成長・発達と妊婦さんの様子
2025.05.28

妊娠32週の赤ちゃんの成長・発達と妊婦さんの様子

sugiurayuko
監 修

河野照子 先生

医学博士
日本産科婦人科学会専門医
日本周産期・新生児医学会専門医 
日本超音波医学会専門医
よしかた産婦人科勤務

妊娠32週に知っておきたい大切なポイントは? 

妊娠32週になり、妊娠9カ月となりました。出産予定日までは残り50日ほど。赤ちゃんとの生活まであと少しですね。産後に向けた準備を進めながら、からだからのサインに気を配り赤ちゃんを守っていきましょう。妊娠32週頃の赤ちゃん&妊婦さんの様子や気をつけておきたいアドバイスをお届けします。

妊娠32週は妊娠何カ月?

妊娠後期で妊娠32~35週にあたる妊娠9カ月の第1週です。この1週間のうちに、出産予定日まで50日目を迎えます。

妊娠32週:赤ちゃんの成長・発達は?

妊娠32週:赤ちゃんの大きさは?

妊娠32週頃の赤ちゃんの体重は1,600g~1,900gほど。9カ月に入ると1週間に+200gのペースでどんどん大きくなっていきます。児童大横径(BPD)と呼ばれる赤ちゃんの頭の大きさは8cmほどで、りんご中玉ぐらいの大きさです。

妊娠32週:赤ちゃんの様子は? 

脂肪がどんどん増え、肌がさらにふっくらとしていきます。背中以外の産毛が抜け、まつ毛や眉毛などが生えていき、より赤ちゃんらしい雰囲気に。また大きくなった赤ちゃんは子宮の中であまり身動きがとれなくなっていくため、ぐるぐる動くようなことはなくなります。

妊娠32週:赤ちゃんの発達は?

脳や内臓、肺が完成にむけてますます発達していきます。羊水を飲んだり、指をしゃぶったりして母乳を吸う練習をするなど、おなかの外で生きていくための準備を着実に行っているようです。

妊娠32週:妊婦さんのからだは?

妊娠32週:妊婦さんのからだの様子は? 

赤ちゃんが大きくなっていくように、妊婦さんのおなかもまた大きく、重くなりました。今まで以上に立ち上がるときや振り返るときには注意が必要です。負担がどこかに強くかかってしまわないように、一気にからだを動かすのではなく、段階をわけるように意識すると良いでしょう。

おっぱいも大きくなっていき、妊婦さんによっては乳頭から乳汁がでることも。

妊娠32週:妊婦さんのおなかの大きさは?

子宮底がみぞおちあたりまで届くようになってきました。いったいどこまで大きくなるんだろう、と不安になるかもしれませんが、もうしばらくすると赤ちゃんが下におりてくるので、子宮による胃や横隔膜への圧迫ももう少しの辛抱です。

妊娠32週:妊婦さんが気をつけること・することは? 

おっぱいで進んでいる母乳の準備

妊娠32週頃になると乳頭から透明や黄色っぽい分泌液、乳汁が出てくることがあります。プロラクチンというホルモンの影響で乳腺の発達や母乳の準備が進むなか、乳汁を運ぶ乳管が開いてきたことで、乳汁が出るようになってきます。そのままにしてしまうと乳汁が乳頭で固まってしまい、乳垢というカスがたまってしまうので、乳頭を刺激しないようにコットンやガーゼにオイルなどを含ませてやさしくふき取るようにして取り除きます。乳汁の量が多いようであれば、母乳パッドを下着につけるようにしましょう。

赤ちゃんがおっぱいを飲みやすい状態にする乳頭のマッサージは、子宮の収縮を促してしまうため、妊娠37週以降に行うようにします。

人差し指や中指がしびれるのは手根管症候群かも

手首にある手根管のなかの正中神経が圧迫され、人差し指、中指、親指などにしびれや痛みを感じる手根管症候群。朝起きたときに強く症状がでるのも特徴のひとつです。指を曲げ伸ばしたり、ふったりすることで症状が緩和することがありますが、状態がひどくなっていくと、親指と人差し指でつまむような動きができなくなり、手術が必要になることも。妊娠・出産期や更年期の女性に多くみられ、はっきりした原因は不明ながら女性ホルモンの影響やむくみによるものではないかと考えられています。妊娠中に手根管症候群になった場合、産後しばらくすると落ち着くことも多いようです。

軽い症状であれば手首を安静にし、あまり曲げないようにして過ごします。しびれや痛みをひどく感じる場合は医師に相談をしましょう。

尿漏れ対策には骨盤底筋のトレーニング

赤ちゃんがまだ下りてきていなくても、大きくなってきた赤ちゃんや子宮に膀胱が強く圧迫されてしまい、膀胱自体の容量が小さくなっています。また緩んだ骨盤底筋は尿道をぎゅっと押さえきれなくなり、ちょっとした刺激で尿が漏れてしまうことがあります。尿漏れ予防としては骨盤底筋を鍛えること、こまめにトイレに行くことなどが考えられますが、心配なときは尿漏れパッドをつけておくといいでしょう。

骨盤底筋は、腟や肛門の筋肉をきゅっと締めたり緩めたりする動作を繰り返しおこなうトレーニングで鍛えられます。腟や肛門の位置を意識しながら、10回程度を1セットとして、仰向け、立った状態、座った状態など、ラクな姿勢で行うといいでしょう。無理のない範囲で行い、おなかの張りなど体調に異変を感じたらやめるようにしてください。

尿漏れと間違いやすいものに破水があります。破水かどうか心配な時には病院へ相談しましょう。

おなかの張りの目安

おなかが大きくなっている妊娠32週頃はおなかの張りを感じることもよくあります。この時期に心配ない目安としては、休んで治まるようなおなかの張りであること。1日の疲れがたまる夕方以降におなかが張ることが多いので、よく動いてしまったと感じる日はなるべく早めにからだを休めるように心がけて。

休んでもおなかの張りが治まらない、頻回に起こる、痛みが強いと言った場合は切迫早産の可能性もあるので早めに受診をしましょう。

出産に備える会陰マッサージ 

自然分娩の際に会陰を切開した、会陰が裂けたというような話を聞いたことはありませんか。腟と肛門の間を会陰といい、赤ちゃんが生まれる際にはこの会陰が大きく伸びていきますが、赤ちゃんの出てくる速度に合わせて伸びきらなかったり、赤ちゃんの頭が大きかったりすると、裂けてしまうことがあります。裂けると傷の治りが悪くなる場合があるため予防的に医師が切り込みを入れることが会陰切開です。切れた会陰は出産後に縫合を行いますが、しばらくは痛みがあります。

会陰マッサージは会陰の柔軟性を高め、裂傷や切開を避ける、回復を早める、痛みを軽減するなどの効果が期待されます。マッサージをしておくと必ず裂傷や切開をしないで済むというわけではありませんが、そのリスクを下げるために多くの妊婦さんが取り組んでいるようです。出産に向けて34週頃からはじめることが多く、植物性オイルなどを用いて、腟に圧をかける方法や、コットンでパックをする方法などがあります。

妊娠32週のチェックリスト 

産休までにしておく確認

労働基準法による産前休暇は出産予定日の6週間前の妊娠34週から。産休まで残り2週間となり、働く妊婦さんたちは引継ぎの準備に忙しい時期かもしれませんが、出産手当金や育児休業給付金などの手続きの確認は完了していますか。実際の申請自体は出産後でも、産休に入る前に手続きの方法を確認しておき、必要書類を申請、入手しておきましょう。健康保険への加入期間などの条件があるので、詳細については勤務先に確認をしてください。

また、会社によっては出産祝い金をいただける場合もあるので、産休中に行う必要のある手続きについては、産休前にしっかりと調べておいて。

母乳外来・母乳相談室を調べておく

母乳での育児を考えているママの強い味方になるのが母乳外来。母乳の相談にのってくれたり、授乳方法を教えてくれたり、母乳マッサージを行ってくれたりする場所です。急に母乳がつまって高熱が出るというような母乳トラブルは珍しいことではありません。退院後、赤ちゃんのお世話でバタバタしていると、ゆっくり調べる時間もないので、いまのうちに近くの母乳外来について調べておくといいでしょう。

赤ちゃんの様子を胎動カウントで確認

胎動カウントは赤ちゃんの元気さを妊婦さんが確認する方法のひとつ。赤ちゃんが10回動くのにかかる時間を計測し、その長さで状態を確認します。妊娠32週頃になると、赤ちゃんの生活リズムができはじめているので、赤ちゃんが動くタイミングでカウントを始めていきます。妊婦さんがリラックスした状態だと胎動を感じやすくなるので、ゆったり座ったり、横になったりして行います。

胎動の強さやタイミングには個人差があるので、あまり感じられなくても「今日は気分がのらないのかな」くらいのゆったりした気持ちで取り組むことをおすすめしますが、あまりにも少ないと感じるようであればトラブルがある可能性もあるので医師に相談を。

羊水過少となる原因は?

羊水の量は妊娠9カ月頃にピークを迎えると、少しずつ減りはじめ、出産前に300~500mlまでになります。

妊娠中・後期に羊水が減ってしまうことがあります。原因としては、破水で羊水が出てしまう場合と、作られる羊水の量が減る場合があります。羊水は赤ちゃんの尿からできており、赤ちゃんは羊水を飲む、尿を出す、を繰り返しています。妊娠高血圧症候群や胎盤の働きが良くなかったりすると、赤ちゃんの血液は脳などの重要な臓器に優先的に流れて腎臓に行く血液量が減るため赤ちゃんの尿が減り、羊水が少なくなります。羊水が極端に減ってしまう場合は、おなかの環境が赤ちゃんにとって良くない方向にむかっているサインの場合もあるので、より厳重に見守る必要があります。

妊娠32週:パパにできることは?

出産という大切な瞬間を一緒に迎えたいと、立ち会い出産を考えているパパは多いのではないでしょうか。何度も痛みに襲われる陣痛からの分娩に、恐怖や不安を覚える妊婦さんにとってパートナーがそばにいてくれることは心強く感じられるはず。けれどもなかには辛い姿を見せたくないと考える妊婦さんもいるので、どんな形がよいのかしっかりと話し合いを。出産で一番大変な状態にある妊婦さんの希望に寄り添うことを第一にしましょう。また、どこまでの立ち会いが可能かは産院によって異なるため、確認をしておくことも大切です。

妊娠32週: お医者さんに聞くことは? 

いつもと違うおりものがある

妊娠32週頃は、出産に向けてエストロゲンやプロゲステロンというホルモンの分泌が増えていくことから、おりものの量も増えていきます。臨月に近づいていくと粘性が増していくこともあります。徐々に増えていくのであれば問題ありませんが、おりものは膣内の状態を示すので、いつもと異なる状態であれば相談が必要です。

カッテージチーズ状のおりものでかゆみがあるようであればカンジダ膣炎、黄色や緑、灰色であれば細菌性膣症や膣炎の可能性が。赤ちゃんへの影響がないよう出産前に治療が必要です。

重度のむくみや視覚異常を感じる

妊娠後期に特に発症しやすい妊娠高血圧症候群ですが、初期の段階では自覚症状があまりありません。妊婦健診で診断されて気をつけているようであればよいのですが、妊娠が進むと血圧が上昇しやすいため、注意が必要です。急なむくみや頭痛、目がチカチカする、尿量が極端に少なくなるなどの症状がみられる場合は、早めに受診をしましょう。

妊娠32週:よくある質問 

妊娠32週は妊娠前より何キロ増が目安ですか?

妊娠している間、注意しておきたい体重管理。妊娠32週頃の増加の目安は、妊娠前の体格指数「BMI(Body Mass Index)」によります。

BMIをまず計算します。(妊娠前の体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=BMI)

BMI18.5未満であれば、妊娠32週頃は妊娠前の体重に+8~12kgほど、18.5~25未満なら+7~10kgほど、25~30未満であれば+4.5~7kgほどが目安となります。

自身の体重がどれくらい増えてしまっているかを確認し、範囲のなかであってもあまり急激な変化がないように気をつけましょう。

妊娠32週の胎児の平均体重は?

妊娠32週頃の赤ちゃんの平均体重は1,800gほど。赤ちゃんの大きさには個人差があり1,600g~1,900gほどが目安となります。ただし超音波検査による推定体重には誤差が±10%程度あるとみられるので、その範囲であればそれほどセンシティブに捉えなくても心配ないでしょう。不安であれば妊婦健診の際に赤ちゃんの様子を医師に確認してみて。

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