妊娠初期 / 妊娠12週の赤ちゃんの成長・発達と妊婦さんの様子
2025.05.28

妊娠12週の赤ちゃんの成長・発達と妊婦さんの様子

sugiurayuko
井畑穣
監 修

井畑穣 先生

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
母体保護法指定医
日本婦人科腫瘍学会認定 婦人科腫瘍専門医
よしかた産婦人科勤務

妊娠12週に知っておきたい大切なポイントは?

妊娠12週を過ぎると、流産のリスクがかなり減り、つわりも落ち着いてきます。また、赤ちゃんの重要な器官やからだの各部分の形成が終わって、骨や筋肉の成長が進む時期に入ります。赤ちゃんのからだ作りを助けるためにも、妊婦さんはカルシウムやたんぱく質をバランスよく摂っていきましょう。そんな妊娠12週に注意しておきたいアドバイスや、やっておきたいことをご紹介します。

妊娠12週は妊娠何カ月?

いよいよ妊娠4カ月に入りました。妊娠4カ月は「妊娠初期」の最後の月に当たります。この頃になると、つわりの症状が消えて、楽になる妊婦さんも多くなります。

妊娠12週:赤ちゃんの成長・発達は?

妊娠12週:赤ちゃんの大きさは?

妊娠12週頃の赤ちゃんは、頭からお尻までの長さが5〜6cmです。口をパクパク動かす様子も見られるようになってきます。

妊娠12週:赤ちゃんの様子は?

赤ちゃんとママを繋ぐ胎盤が徐々に完成に近づいてきています。2本の動脈と1本の静脈がらせん状にくっついている状態の「へその緒」も、太く長くなってきています。この胎盤とへその緒によって、ママから栄養と酸素を受け取り、老廃物を戻しているのです。これまでへその緒の中に一部あった腸も、本来の位置に収まっています。

妊娠12週:赤ちゃんの発達は?

赤ちゃんの下あごが発達してきて、羊水を飲み込めるようになってきます。飲み込んだ羊水はおしっことして出しますが、これは、生まれてからすぐに行う「消化」と「排尿」の練習をしているといわれています。羊水の量も増え、手足の動きがさらに活発になってきます。

妊娠12週:妊婦さんのからだは?

妊娠12週:妊婦さんのからだの様子は? 

辛かったつわりの症状が治まってきて、しだいに食欲が増してきます。ホルモンバランスの影響で、疲労感や眠気を強く感じたり、おっぱいがさらに大きくなって、乳首や乳輪の色が濃くなる人もいます。

妊娠12週:妊婦さんのおなかの大きさは?

まだおなかの大きさが目立つほどではありませんが、ほんの少しふくらんだり、張っているような感じが出てきます。双子を妊娠している妊婦さんは、妊娠12週にはおなかのふくらみが目立ち始める人もいます。他の人には妊娠に気づかれにくい頃ですが、安静が大切な時期なので、マタニティマークなどを利用することも検討しましょう。

妊娠12週:妊婦さんが気をつけること・することは?

体重管理をはじめよう

つわりがおさまると次第に食欲が出てきます。これまで見るのも嫌だった食べ物が普通に食べられるようになったことが嬉しくて、つい食べ過ぎてしまう人も多いようです。急激に体重が増えてしまうと、さまざまなトラブルを招くので、注意が必要です。1日あたりの必要摂取カロリーは、妊娠初期で+50kcal、中期で+250kcal、後期で+450kcalほど、通常時と比べて多くなります。バランスの良い食生活を心がけて、体重管理を始めましょう。

カルシウムの摂取を

おなかの赤ちゃんは、骨や筋肉の成長が進んでいる大切な時期です。赤ちゃんに届けられるカルシウムが不足すると、妊婦さんの骨や歯に蓄積されていたカルシウムが使われてしまい、「骨粗鬆症」になるリスクがあります。赤ちゃんのためにも、自分自身のためにも、積極的にカルシウムを摂るようにしましょう。

牛乳、ヨーグルトなどの乳製品、小魚、干しえびなどの魚介類、大豆製品などを意識して食べ、カルシウムの吸収を助けるマグネシウム(ひじき、アサリ、ナッツなど)、ビタミンD(しらす干し、干ししいたけなど)、クエン酸(レモン、グレープフルーツ、梅干しなど)も一緒に摂ると良いでしょう。

膨張感があるときは

「プロゲステロン」というホルモンが増加することで、消化器官の動きが緩慢になり、ガスがたまりやすくなることがあります。また、大きくなってきた子宮が骨盤の上部に達することで、下腹部に軽い膨張感や圧迫感を感じることがあります。

便秘になると、膨張感を悪化させることがあるので、食物繊維や水分など、お通じに良いものをしっかり摂って腸の動きを助けましょう。食事でのコントロールが難しいようなら、かかりつけの産婦人科に相談を。

妊娠中の便秘によく使われる「酸化マグネシウム」は、お通じを柔らかくするのが主な作用で、おなかが痛くならない便秘薬として知られています。胃酸を抑える効果もあり、マイルドに効くので多くの妊婦さんが使っています。

また、食事をするときは空気を一緒に飲み込まないように少量ずつゆっくりと食べること、適度にからだを動かすことも大切です。

ストレス解消を心がける

妊娠中は、ホルモンバランスの影響で感情が不安定になりやすいもの。好きな音楽を聴く、読書する、映画を見る、からだを動かす、深呼吸するなど、自分をリラックスさせる時間を積極的に作って、ストレスを溜めないようにしましょう。パートナーと話すことで心を落ち着かせたり、病院やウェブサイトなどで近い妊娠週数のママ友を作って不安を共有するのも良いでしょう。

妊娠12週のチェックリスト

歯科健診の予約を

つわりによる気持ち悪さが落ち着いたタイミングを見計らって歯科健診にいきましょう。つわりの間は歯を磨くのが辛いですし、ちょこちょこ食べをしていたり、唾液の分泌量が減少していたりと、妊娠前の何倍も虫歯になりやすい状態になっています。重度の歯周病があると、健康な妊婦さんに比べておよそ7倍も早産や低体重児となるリスクがあります。多くの自治体では、妊婦さんを対象とした歯科健診が実施されているので、ぜひ活用してくださいね。妊娠後期になると治療の体勢がきつくなったり、産後は赤ちゃんがいて通えなくなったりするので、今がベストタイミングです。

骨盤底筋体操を取り入れる

「骨盤底筋」とは、子宮や膀胱、腸を支えるハンモックのような筋肉群のことで、妊娠・出産で緩みやすくなります。骨盤底筋が緩むと、尿もれや便もれ、腰痛などが起こりやすくなるので、骨盤底筋を鍛えるエクササイズを始めましょう。運動のやり方はさまざまですが、基本的には腟や肛門の筋肉をきゅっと締めたり緩めたりする動作を繰り返し行います。詳しく説明しているウェブサイトや専門の動画などを参考にしながらぜひ挑戦してみてください。

ベビーグッズリストの作成

体調も安定し始めて、気持ちに余裕が出てきたら、ベビーグッズリストの作成を始めてみるのはいかがでしょうか。妊娠後期に入ってから慌てて色々と揃え始めるよりも、今のうちから情報収集をしておくと、後悔しない買い物ができそうです。

まずは、おむつ、肌着、哺乳瓶、ベビー布団など、新生児期(生後0〜1カ月)に必要になるものからリストアップしていきましょう。ハイチェアやおもちゃなど、生後数カ月後に必要なものは後回しでもOKです。先輩ママのブログや育児サイトで「実際使ったもの」「不要だったもの」をチェックすると、リアルな声が参考になるかも。赤ちゃんのいる生活をイメージして必要なものを揃えていくのは、とても楽しい時間になりますよ。

夫婦の時間を楽しむ

赤ちゃんが生まれたら、夫婦2人きりの時間をとることが難しくなるかもしれません。体調が安定してきた今は、新しい家族を迎える準備をしながら、夫婦の絆を深める絶好のタイミングです。特別なことをしなくても、カフェでのんびり過ごしたり、近くの公園を散歩しながら、「どんな子になるかな?」と未来の話を語り合うのも良いでしょう。妊娠中ならではの特別な思い出を作ってくださいね。

胎児のニックネームをつける

まだ名前のない赤ちゃんですが、超音波検査で心音を聞いたり、動いている姿をみると名前を呼びかけたくなるものですよね。おなかに話しかける時にも呼びやすくなり、家族の一員として実感が湧いてくることでしょう。夫婦で「こんな名前はどう?」と提案し合って、今だけの素敵なニックネームを見つけてみてくださいね。

妊娠12週:パパにできることは?

これからどんどんおなかが大きくなっていくと、妊婦さんは足元が見えにくくなってつまずきやすくなります。転倒の心配がないように、家の中は常に整理整頓をして過ごしやすい環境を整えておきましょう。妊娠初期からリラキシンというホルモンが分泌され、骨盤周囲の靱帯や関節を緩める働きをします。赤ちゃんを産むために大切な作用ですが、腰痛や骨盤の不安定さが出てきます。 妊娠前とまだ見た目は変わらなくても、着々とからだは変化しているので、一番身近にいる存在として労わる気持ちを忘れないでください。

妊娠12週: お医者さんに聞くことは? 

超音波写真(エコー写真)の見方

超音波検査では、赤ちゃんの大きさやからだの構造、羊水の量、胎盤の位置などを調べています。どこが顔でどこがからだなのか、わかりづらい場合があるので、エコー写真をもらったら医師に聞いてみると良いでしょう。

写真の横に記載されることの多い英数字は、赤ちゃんの成長を表しています。意味を知っていると、成長をより実感できるでしょう。

・CRL/胎児頭殿長(crown-rump-length)。頭からお尻までの長さ。

・BPD/頭大横径(biparietal diameter)。頭の横幅。

・FL/大腿骨長(femur length)。太ももの骨の長さ。

・AC/体幹周囲長(abdominal circumference)。おなか周りの長さ。

・EFW/推定胎児体重(Estimated Fetal Weight)。BPD、FL、AC等から計算される推定体重。

・AGE(またはGA:gestational age)/妊娠週数。○w○dは、○週○日の意味。

病院によっては、立体的に見える3Dエコー、動画で見れる4Dエコーを実施していることも。2Dエコーは断面を写すものですが、3Dエコーなら、赤ちゃんの表情や体つきまで確認することができますよ。

妊娠中の運動について 

妊娠中の運動は、妊婦さんの健康を維持するためにも、産後の回復を助けるためにもとても有益です。出産は長丁場になることもあり、体力が必要なので、その準備としても妊娠中にからだを動かすことは大切です。

妊娠12週になると、体調が安定しつつありますが、まだまだ無理は禁物です。自分のペースを大切にしつつ、簡単な運動から始めてみてください。おすすめは、ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレ、骨盤底筋体操などです。週3〜5回、1回20〜30分程度を目安に、心拍数が上がりすぎない範囲で行いましょう。健診時に「こんな運動がしたいけど大丈夫ですか?」と聞くと、具体的なアドバイスがもらえるでしょう。

赤ちゃんの性別

赤ちゃんの性別がわかるのは、男の子の場合は妊娠14~15週、女の子の場合は妊娠17~18週頃が多いようです。しかし、12週は男女の外性器の差が見られてくる時期であり、早ければ性別がわかることも。「できるだけ早く赤ちゃんの性別を知りたい」、「性別は生まれるまで明かさないで欲しい」など、医師に気持ちを伝えておくと良いでしょう。

妊娠12週:よくある質問

妊娠12週になってもつわりが終わる気配が全然ありません。どういうことでしょうか?

多くの場合、つわりは妊娠8〜10週頃にピークを迎え、12〜14週頃に自然に軽減するといわれています。これは胎盤が完成に近づくにつれて、ホルモンの急激な増加が落ち着くためです。しかし、体質によっては、妊娠中期まで軽い症状が残る人や、中には出産まで続く人もいるほど、個人差が大きいもの。つわりが「終わるはずなのに終わらない」というプレッシャーを感じると辛さが増すこともあるので、「自分のペースで良いんだ」と気持ちを切り替えて受け入れると、少し楽になるかもしれません。

妊娠12週です。妊娠中の入浴について、気をつけることはありますか?

38〜40℃のぬるめのお湯に10〜15分程度入るのが理想的です。妊娠中は血圧が変動しやすく、熱いお湯に長時間入ると、のぼせたりめまいが起きやすくなります。リスクを避けるためにも、短めに切り上げるのが安全です。入浴はからだを温めて血流を良くし、疲れを癒すチャンスです。好きな音楽をかけたり、湯船で深呼吸したりして楽しんでくださいね。

妊娠12週で日中の眠気がひどく、仕事に集中できません。どうしたらいいですか?

妊娠を維持するホルモン「プロゲステロン」が増加することで、眠気を感じる妊婦さんは多いです。また、妊娠12週は胎児の成長や胎盤の形成でからだがフル稼働している最中なので、普段と同じ仕事でも疲れやすくなっています。仕事中に短い休憩を取ることが可能ならば、10〜15分の仮眠をとるようにするといいでしょう。あまりに眠気に耐えられないようであれば、上司に状況を伝えて、業務量を調整してもらったり、休憩の理解を得ることも考えてみてください。母子健康手帳や厚生労働省のホームぺージなどに掲載されている「母性健康管理指導事項連絡カード」を医師に記入してもらうと、より的確に状況を伝えられるでしょう。

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