妊娠初期 / 妊娠10週の赤ちゃんの成長・発達と妊婦さんの様子
2025.05.28

妊娠10週の赤ちゃんの成長・発達と妊婦さんの様子

sugiurayuko
監 修

河野照子 先生

医学博士
日本産科婦人科学会専門医
日本周産期・新生児医学会専門医 
日本超音波医学会専門医
よしかた産婦人科勤務

妊娠10週に知っておきたい大切なポイントは?

まだまだつわりが続いている妊婦さんも多い妊娠10週ですが、そろそろ症状が治ってくる時期。「つわりが終わるまであと少し」と希望を持って、食べられるときに食べられるものを食べ、なんとか乗り切っていきましょう。赤ちゃんは2頭身だったからだが3頭身になり、より人間らしい形に近づいてきています。そんな妊娠10週に注意しておきたいことや、やっておきたいことをお届けします。

妊娠10週は妊娠何カ月?

妊娠10週は妊娠3カ月のちょうど真ん中に当たります。この時期は胎児にとって重要な成長段階で、驚くほどの変化が起こっています。

妊娠10週:赤ちゃんの成長・発達は?

妊娠10週:赤ちゃんの大きさは?

今週の初めには頭からお尻までの長さが3cmほどだった胎児が、週の終わりごろには4cmほどに成長しています。妊娠前はにわとりの卵くらいの大きさだった子宮も、大人の握りこぶしほどの大きさになっています。

妊娠10週:赤ちゃんの様子は?

赤ちゃんは羊水の中で活発に動いています。からだを自由に動かすことで、筋肉や骨格がどんどん発達していきます。

妊娠10週:赤ちゃんの発達は?

中枢神経や肺などの呼吸器、胃などの消化器、目、耳、口などあらゆる器官が発達し、内臓は動き出しています。乳歯の芽である「歯胚(しはい)」が作られ、2頭身だったからだつきが3頭身になっていきます。この時期の赤ちゃんの肌はとても薄く、すりガラスのように透きとおっています。

妊娠10週:妊婦さんのからだは?

妊娠10週:妊婦さんのからだの様子は? 

妊娠前に比べて、からだを巡る血液の量が15%ほど増えています。息切れや動悸を感じたら、無理せずに休息を取るようにしましょう。血液はこのあとも急速に増えていき、ピーク時には妊娠前の約1.4倍にもなります。血液中の水分である「血しょう」が多くなり、赤血球中の「ヘモグロビン」が足りなくなるので、今のうちから食事やサプリメントで鉄分補給をするように心がけると良いでしょう。

妊娠10週:妊婦さんのおなかの大きさは?

外見上では大きな変化はありませんが、おなかを手で触ってみると少しふっくら丸みを帯びてきたのを感じることができるかもしれません。

妊娠10週:妊婦さんが気をつけること・することは?

分娩予定日の確定

分娩予定日は最終月経開始日をもとに計算しますが、排卵時期には個人差があるため妊娠8〜10週頃に、赤ちゃんの大きさ(頭殿長、CRL)から分娩予定日を決めます。

めまいに注意する

妊娠中はホルモンが自律神経に影響を与え、「めまい」を起こすことがあります。急に立ち上がったときに血圧が下がってクラッとしたり、つわりで十分に食事がとれず、血糖値が下がってふらついてしまうことも。

疲れを感じたら無理せず横になることを心がけ、こまめに水分補給と栄養補給をするようにしましょう。「貧血」もめまいやふらつきの原因になるので、レバーやほうれん草などの鉄分を含む食品を意識して摂ると良いでしょう。

嗅覚が過敏になることも

妊娠すると「エストロゲン」というホルモンの影響によって嗅覚が普段より鋭くなることがあります。嗅覚が過敏になることで、食べ物の匂いや人の体臭、香水、ゴミや洗剤などの生活臭がすごく強く感じられて、気持ち悪くなってしまうことが多いようです。

キッチンの匂いがキツイなら、できるだけそこから離れて換気をこまめにするようにしましょう。ゴミ箱も匂いが漏れないふた付きのものに変えてみると良いでしょう。また、ミントやレモンなど、自分の好きな香りをマスクに少しつけておくと、不快な匂いが和らげられることがあります。ただし、香り自体がダメな場合もあるので様子を見ながら行ってくださいね。

むくみを感じることも

妊娠中は体内の水分量や血液量が増えていますが、子宮が大きくなったりホルモンの影響で血流が圧迫されたりすると、手足に溜まった水分によってむくみが発生することがあります。妊娠10週ですと、まだ子宮のサイズはそこまで大きくないですが、からだが妊娠に慣れようとしている時期なので、ちょっとしたむくみを感じる人もいます。特に、長時間立っていたり、夕方になると悪化しやすいと言われています。

むくみを解消するには、軽い散歩やストレッチで血流を促すのがおすすめです。寝るときに足元にクッションを置いて少し高くすると、血流が戻りやすくなってむくみが減ることもありますよ。

マタニティ用下着への切り替えを検討

つわりによる不快さが続いている場合は、早めに下着をマタニティ用に変えてみるのも良いでしょう。体型の変化を実感できず、切り替えはまだ早いと感じるかもしれませんが、おなかも胸も日々少しずつ大きくなっています。伸縮性があり締めつけが少ないマタニティ下着に変えることで、気持ち悪さを軽減できることもあるでしょう。あとひと月もすれば、さらにおなかや胸が大きくなり、マタニティ下着への変えどきとなります。いずれにしろ必要なものなので、早めに取り入れることで、長く使うことができて経済的です。

妊娠10週のチェックリスト

肌のために保湿ケアを行う

妊娠10週は、からだが少しずつ変化し始めるタイミングです。特に肌が乾燥しやすくなったり敏感になるかもしれません。スキンケア用品を選ぶ際は、低刺激で肌に優しく、保湿力が高いものを準備すると良いでしょう。つわりが続いている場合は、強い香りを避けて無香料のものがおすすめです。

今はまだ目立たないおなかですが、これからどんどん大きくなってくると、皮膚が急激に引き伸ばされて、「妊娠線」と呼ばれるヒビのような跡が残ってしまうことがあります。肌が乾燥していると妊娠線が発生しやすいので、今のうちからマタニティクリームを使ってしっかりスキンケアしておきましょう。

母子手帳ケースを用意

母子手帳をもらったら、ぜひ用意して欲しいのが「母子手帳ケース」です。母子手帳は妊娠中から出産後まで長く使う大切な記録なので、汚れや折れを防ぐためにケースがあると安心。また、診察券や保険証、領収書、エコー写真など、病院で受け取る書類が増えるので、一緒に収納できるポケット付きのタイプを用意しておくと便利です。専用の母子手帳ケースでなくても、大きめのビニールポーチなどにひとまとめにしておくのも良いでしょう。

出産までにかかるお金の確認

出産までにかかるお金の総額は、住んでいる地域や病院、加入している健康保険によって異なるため、あらかじめ調べておきましょう。病院に確認するのはもちろんですが、母子手帳をもらう際に自治体の窓口で出産に関する助成制度について聞いてみたり、加入している健康保険の窓口やウェブサイトで確認するのも良いでしょう。

出産費用として加入している健康保険組合から「出産育児一時金」(50万円)が支給されますが、処置の内容や入院日数、室料差額などによってはオーバーする可能性もあるので、不足する場合はどのように工面するか、事前に夫婦で話し合っておくことも大切です。

病院や身近な人の緊急連絡先を確認

日々からだが変化する妊娠中は、いつ何が起こるかわかりません。何かあったときにすぐに連絡できるように、病院の電話番号や家族、身近な人の連絡先をスマホに登録しておくことをお忘れなく。緊急時にすぐに病院へ行けるように、タクシー配車アプリを入れておくのも良いでしょう。

妊娠10週:パパにできることは?

出産費用の目安を病院に問い合わせたり、保険の手続きについて調べるなど、お金や申請関係についても、一緒に確認してあげましょう。パパ向けの育児本やアプリをチェックして「こんなのあったよ」と提案してみるのも良いでしょう。妊娠・出産について、パートナーと一緒に学ぶ姿勢を見せることが大切です。

妊娠10週目: お医者さんに聞くことは? 

出生前診断について

「出生前診断」とは、おなかの赤ちゃんの染色体に異常がないかを調べる検査のこと。出生前診断は全員が受けるものではなく、妊婦さんが「赤ちゃんの健康について知りたい」と望む場合や、リスクが高いと判断された場合に行われる任意の検査です。

代表的な出生前診断には、「NIPT(新型出生前診断)」、「母体血清マーカー検査」、「羊水検査」、「絨毛検査」などがあります。

妊婦さんの年齢にもよりますが、赤ちゃんが何らかの先天異常を持って生まれる確率は3~5%前後。そのうち染色体異常は約25%です。検査をしても、すべての障がいや病気がわかるわけではありません。

検査できる時期が決まっているため、不安や疑問がある場合は早めに専門的なカウンセリングを検討すると良いでしょう。出生前診断のメリットやデメリット、リスクを十分に理解したうえで、受けるか受けないか夫婦でしっかり話し合って決めましょう。

妊娠10週:よくある質問

妊娠10週ですが、花粉症が辛いです。市販の薬を使っても良いですか?

妊娠中は市販薬の使用に慎重になる必要がありますが、全く使えないわけではありません。しかしどの薬なら赤ちゃんへの影響が少なそうかといった判断が必要なため、必ず産婦人科の医師に確認してから服用するようにしましょう。

妊娠10週になるのに体重が全く増えません。赤ちゃんがちゃんと育っているのか心配です。

この時期に体重が増えないのは珍しいことではなく、赤ちゃんの成長に必ずしも直結しないので、安心してください。妊娠初期(~12週頃)は、体重がほとんど増えないか、むしろつわりの影響などによって減る人もいます。健診で赤ちゃんの大きさや心拍が確認できていれば、ちゃんと育っているサインです。次の健診で医師に「体重が増えないのが気になります」と伝えて、具体的なアドバイスをもらうと良いでしょう。

妊娠10週ですが、つわりがピークで水を飲んでも吐いてしまいます。どうしたら良いですか?

一度にたくさんの水を飲むと胃が受け付けにくい場合があるので、少ない量を頻繁に飲むのがポイントです。スプーン1杯くらいの水や氷を少しずつ口に含んでみてください。冷たいものやレモン水、生姜を少し入れたお茶が気持ち悪さを和らげることもあるようです。また、炭酸水が合うという妊婦さんも多いです。1日以上水分が全く取れなかったり、尿が濃い黄色になったり出なくなったりする場合は、脱水症状のサインなので要注意です。早めに医療機関を受診しましょう。

妊娠10週です。口内炎がひどいのは妊娠中であることと関係ありますか?

妊娠中はホルモンバランスの乱れによる免疫力の低下やストレスなどにより、口内炎ができやすくなっています。また、つわりで食事が偏ったり水分が不足したりすると、口の中の環境が荒れやすくなることも関係しているかもしれません。

口内炎を予防するには、十分な睡眠をとったり、栄養バランスのよい食事を心がけるなど、生活習慣を見直してみてください。口内炎の治療薬もあるので、健診の際に医師に相談すると良いでしょう。

妊娠10週です。エコー写真を保存するための楽しいアイデアを教えてください。

感熱紙に印刷されているエコー写真は、そのままの状態で保存しておくと、時間とともに色が薄くなって消えてしまいます。まずはスマホのアプリやプリンタでエコー写真をスキャンして、データ化して保存しておくと安心です。

データ化したエコー写真は、アプリなどで加工を施すことによって、より見やすく整理することができますよ。エコー写真は後から見ると、どこがどの部分なのかわからなくなってしまいがちなので、文字入れアプリなどを使って、日付や週数、病院で教えてもらった手や足や目の位置などを書き込んでおくと良いでしょう。他にも、真四角にカットしてインスタ風にしてみたり、大きくなっていくおなかを毎週同じアングルで撮影して、エコー写真と並べて飾ってみたり、シール加工して母子手帳に貼り付けてみたりと、自分なりに工夫して楽しんでみてください。

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